調剤でやらかした。薬剤師向いてないのかな…。
仕事がつらい。薬剤師にならなければ良かった…。
薬剤師として働いている人の中には、自分に自信が持てず薬剤師になったことを後悔している人もいるかもしれません。
薬剤師になるまでにかかった時間や労力を考えると、向いていないと思っても簡単に「辞めよう」と決めるのは難しいですよね。
私も薬剤師に向いておらず、就活サイトの適性診断で薬剤師の適性がたったの1%でした。学生時代は薬局実習に落ち、就活では絶対に調剤を避けて働こうと思っていました。
今回は私と同じく「薬剤師に向いていない」と思っている人に向けて、そう思ってしまう原因や今後働くための選択肢を解説します。
薬剤師に向いてないと思ってしまう原因5点
転職するにせよ今の仕事を続けるにせよ、まずはなぜ「向いていない」と感じるのか言語化してみましょう。
今の仕事に向いていないからといってすぐ転職しても、次の仕事が向いていなければ転職を繰り返すことになります。
「薬剤師に向いてない」と思ってしまう原因として主に考えられるのは次の5点です。
- 職場の人間関係が悪い
- 仕事の負担が大きい
- 調剤の仕事が合わない
- 調剤ミスをしてしまった
- 気力、体力がもたない
私の体験も交えながら、それぞれ解説しましょう。
職場の人間関係が悪い
「自分は薬剤師に向いていない」と思い込んでしまう要因として、職場の人間関係があります。
仕事を満足に教えてもらえない、理不尽に叱責されるなど職場の人間関係に問題があると、「自分が悪いのかな」「もしかして私は薬剤師に向いてないのかも…」と落ち込んでしまう場合があります。
私の友人も仕事に向いていないことで悩んでいました。しかし話をよく聞いてみると、職場の人に嫌味を言われ続けたせいで自分に自信がなくなり、自分がダメだと思いこんでしまったようでした。その人は転職を機に自信を取り戻し、今でも薬剤師として働いています。
職場の人間関係が原因であれば、環境を変えるだけで自信を取り戻せる可能性は十分にあります。職場の環境が合わないだけなのに薬剤師自体を辞めてしまうのはもったいないですよね。「薬剤師に向いていない」と思ったら、合わないのは職場の環境なのか仕事内容なのかを考えてみましょう。
仕事の負担が大きい
忙しい店舗で働いている場合や他の薬剤師をフォローする立場で働いている場合、純粋に仕事の負担が大きいのかもしれません。自分のキャパシティに対して仕事の負担が大きければ、「向いていない」と感じるのも無理はありません。
「これくらいできないと薬剤師としてやっていけない…」と不安になるかもしれませんが、あなたの適性以前に職場の期待が大きすぎる、仕事があなたに偏りすぎているケースもあります。
仕事の量を調整すれば、問題なく働けるかもしれません。この場合問題なのは、あくまであなたの適性ではなく働く環境です。
調剤の仕事が合わない
「人間関係は良好で仕事の負担も大きくないけど、今の仕事に満足できない…」という場合、調剤の仕事自体があなたに合っていないのかもしれません。
調剤はルーチンワークで細かく正確な動作が求められます。
日々幅広く仕事をしたい人、細かい作業が苦手な人は苦痛に感じるでしょう。
調剤ミスをしてしまった
調剤ミスをしたあとも、「薬剤師に向いていないのではないか」と思い込みやすいタイミングです。
もちろん調剤ミスはしないに越したことはありません。しかし人間である以上、誰もがミスをする可能性はあります。
ミスをした後はつい落ち込んでしまい、「もしかして薬剤師に向いていないのかも…」と思ってしまうこともあるでしょう。
気力、体力がもたない
薬剤師の仕事は気力、体力を必要とします。薬剤師になったものの仕事に疲れ切ってしまい、働き続けるのが難しいと感じる人もいるかもしれません。
調剤で働いていると一日立ちっぱなしの日もありますし、連休明けや冬は患者さんが多いので残業しなければいけないこともあるでしょう。
また、患者さんの中にはクセのある人もいます。「薬剤師に向いていない」と思う人の中には、そういった患者さんの対応が精神的に疲れる人もいるかもしれません。
私もドラッグストア時代、混んでいるのに急かしてくる人や怒鳴ってくる人、無茶な要求をしてくる人の対応にストレスを感じることもありました。
薬剤師に向いてないと思ったときの行動
「薬剤師に向いていない」と思った状態のまま、我慢して働き続けるのはつらいですよね。かといって、すぐに仕事を辞めるのもリスクがあります。
まずは「向いていない」という気持ちを掘り下げてから、解決する方法を考えましょう。
実際に私が転職したときのステップを紹介します。
- 向いていないと思う原因を分析する
- 自分の強みや適性を考える
- 自分に向いている働き方に近付くよう行動する
1.向いていないと思う原因を分析する
調剤の仕事が合わないと感じている場合、調剤のどんなところが自分に合わないのか考えてみましょう。「もっとクリエイティブな仕事がしたい」でもいいですし、「患者さんと話すのが疲れる」でもいいです。「向いていない」から一歩踏み込んで、今の気持ちを深堀りしましょう。
もし転職するとしても、同じ失敗をしないためには自分に合わない要素を避けて選択することが大事です。
私も調剤を経験したものの、調剤の細かい仕事や狭い人間関係が自分に合っていないと感じて企業の仕事を探しました。何が合わなかったのかを考えれば、次の失敗を防げます。
調剤の仕事が合わなくても、他に合った仕事をみつけられれば自分の強みを十分に発揮できるでしょう。
2.自分の強みや適性を考える
薬剤師に向いていないと思ってしまう原因がわかったら、次は逆にどのような働き方が自分に合っているのか検討しましょう。
人間関係さえ変われば働けるのであれば、店舗や職場さえ変われば調剤を続けられるでしょう。
調剤が合っていなければ他の仕事を探す必要がありますが、転職するとしても自分の強みや職場との適性は常に考えなければいけません。私はルーチンワークをミスなくこなすのが苦手なので調剤には向いていませんでしたが、文章を書くのは得意だったのでメディカルライターになりました。
ぱっと浮かばない場合は今までの経験から好きなこと、人より得意だったことを思い出してみましょう。卒業研究や学生時代のアルバイト、趣味で没頭していたこと・・・考える段階であれば何でもOKです。
自分一人で考えるのが難しい場合、など自己分析ツールを使用するのも手です。
ミイダス
無料で使える+登録してもエージェントから電話がかかってくることもないので、興味があればどんどん活用してみましょう。
3.自分に向いている働き方に近付くよう行動する
ここまで考えたら、あとは実際に働き方を変えてみましょう。
働き方を変える=転職と思う方もいるかもしれませんが、異動や上司との相談で解決できる場合もあります。
「我慢すればいい」「大変なのはみんな一緒」と思うこともあるかもしれませんが、「薬剤師に向いていない」という気持ちは自分の気持ちからのSOSです。つらい気持ちをそのままにして働き続けると、いつかメンタルを壊してしまうかもしれません。私も職場の人間関係に我慢していたら、適応障害になって休職してしまったことがあります。
自分を大事にすることは、職場であなたしかできません。
健康に働き続けるためにも、自分に合った働き方を模索しましょう。
薬剤師に向いていないと思った人が働く選択肢
働き方を変えるには、次の選択肢があります。
- 異動、相談した上で今の職場で働く
- 他の職場で働く(パート、派遣含む)
- 調剤を辞めて企業に転職する
それぞれについて解説します。
異動、相談した上で今の職場で働く
仕事の量が多い場合や職場の人間関係が悪い場合、転職しなくても職場に相談して解決できる可能性はあります。
上司など会社の信頼できる人に問題点を相談しましょう。もし職場が異動や業務量の調整を許してくれれば、今の仕事を続けたまま解決できます。仕事の量や人間関係が変われば、「薬剤師に向いていない」という気持ちもなくなるかもしれません。
もし信頼できる人がおらず、精神的に仕事を続ける場合は休職するという手もあります。休職中も傷病手当金(給与の2/3)を受け取れるので、まずは一度休んでから復職時に調整してもらってもいいでしょう。
私も実際に休職、復職を経験しましたが、復職する際には産業医や人事との面談があるので仕事の調整はしてもらいやすい印象です。
実際に休職したときの話はこちら。
他の職場で薬剤師として働く(パート、派遣含む)
職場に相談しても解決できるとは限りません。その場合は思い切って転職しましょう。
「向いていない」と感じる原因が職場環境にあり、調剤の仕事自体は続けたいのであれば、調剤の仕事を探しましょう。転職エージェントを利用すれば、自分のニーズに合った職場を探してくれます。
フルタイムで働くのが難しいと感じているなら、派遣やパートで働いてもいいでしょう。
柔軟に働けるのが薬剤師のメリットです。利用できるものは利用しましょう。
調剤を辞めて企業に転職する
調剤自体が向いていないと感じているなら、企業の仕事を探してみましょう。
実際に私はドラッグストアから企業の仕事に転職しました。今はメディカルライターとして働いています。
調剤の仕事を探すより難易度は上がりますが、結果として自分に合った仕事を見つけることができました。
実際の方法についてはこちら。
薬剤師に向いていない人も生きていける
周りの人は「薬剤師免許を生かさないともったいない」と言うかもしてませんが、資格自体に使わなければいけないという決まりはありません。
長い人生、せっかくなら自分に合ったキャリアを選びたいもの。極端な話、薬剤師を辞めても生きていけます。
「薬剤師に向いていない」という気持ちから一歩踏み込んで、より自分らしく働ける場所を探しましょう!