OTC薬剤師になりたい!薬剤師以外の資格って必要なの?
ドラッグストアに転職したいけど、取っておいた方がいい資格はある?
この記事はそんな人のために書きました。
私は新卒でドラッグストアに就職し、OTC薬剤師として働いていました。当時はいくつか資格を取り、そのうちいくつかは実際の仕事にも役立ちました。
今回はOTC薬剤師に必要な資格と勉強について、自分の経験を踏まえて解説します。
OTC薬剤師になるには、薬剤師免許さえあればOK
OTC薬剤師とは、OTC医薬品(処方せんなしで購入できる医薬品)を取り扱う薬剤師のことです。薬剤師の資格さえあれば、他に資格は必要ありません。
OTC薬剤師になるにはドラッグストアに就職するのが一番の近道です。OTCの知識をつけたいなら、現場で学ぶのが手っ取り早いでしょう。
OTC薬剤師に転職する方法はこちら。
OTC薬剤師に役立つ資格3選
OTC薬剤師になるために薬剤師以外の資格は必要ありませんが、取っておくと役立つ資格はあります。私が実際に勉強して役立った資格を3つ紹介します。
- 化粧品検定
- 簿記
- リテールマーケティング(販売士)
薬剤師は薬や病気についての勉強はしていますが、会計や化粧品の勉強はほとんどしません。しかしドラッグストアに就職すると、薬剤師としてだけでなくドラッグストアの社員として幅広い知識が求められます。
なお、OTC医薬品そのものを学べる資格は登録販売者のみですが、薬剤師が登録販売者をわざわざ取るメリットはありません。登録販売者向けのテキストは役に立ちますが、受験まではしなくてもいいでしょう。
それぞれの資格について解説します。
化粧品検定
OTC薬剤師の仕事は医薬品だけでなく、化粧品や日用品も扱います。お客さんからすれば薬剤師も登録販売者も「店員さん」なので、売り場でわからないことがあれば聞いてくるでしょう。
薬剤師が化粧品を勉強する機会はなかなかありません。化粧品検定は美容の基礎や化粧品の選び方を学べる資格なので、勉強しておくと化粧品について質問されたとき役立ちます。特に免税店で働いている人にはおすすめ。
化粧品検定には1級~3級がありますが、薬剤師であれば生物・化学の知識があるのでいきなり1級を受けてもOKです。テキスト・問題集を何回か読めば合格点は取れます。2週間もあれば合格できるでしょう。
テキストはこちら。1級を受験する場合でも両方買っておきましょう。
化粧品検定1級・2級の試験日は5月と11月の年2回です。3級はWEB受験からいつでも無料で受けられます。
試験概要や試験の申込は、日本化粧品検定の公式サイトから確認できます。
簿記
簿記とは、会社の帳簿を付けるルールのことです。
OTC薬剤師をしていると、レジ締めや店舗の会計、棚卸に関わる機会があります。簿記を知らなくても業務自体はできますが、簿記を勉強しておくと店舗業務を体系的に理解できます。ドラッグストアのインターンでも、薬学生向けに簿記を学ぶワークショップを開催している企業がありました。
簿記には1級~3級がありますが、OTC薬剤師が学ぶ範囲としては3級で十分です。学校や通信講座もありますが、基本的にはテキストを買って勉強すれば合格できるでしょう。2級~3級は近くの会場でインターネット受験(CBT)があるので、自分の都合に合わせて受験できます。
私は「スッキリわかる 日商簿記3級」だけ使って合格しました。棚卸しが必要な理由や、日計表(1日の取引を記録する表)の読み方がわかり、店舗業務が楽しくなりますよ。
リテールマーケティング(販売士)
リテールマーケティング(販売士)は接客や売り場づくりなど、販売業にあたり必要な知識を身につけられる資格です。
商品の販売に必要なスキルを身につけられます。薬学部では販売や経営の勉強をほとんどしないので、販売士の勉強は小売業に関わるために勉強しておくといいでしょう。私がドラッグストアで働いていたとき、当時の店長も販売士の資格を持っていました。
販売士も1級~3級があり、いずれも会場受験のほかにインターネット受験(CBT)ができます。他の資格と違って5年ごとに更新が必要です。
「販売士に興味はあるけど、更新が面倒」という方は、受験しなくてもテキストを買って勉強するだけで十分役立ちます。私も更新が面倒だと思ったので、テキストだけ購入して勉強しました。
まずはOTCの知識を付けること
OTC薬剤師が持っていると便利な資格を紹介しましたが、これらは余裕があればでOK。OTC薬剤師になって最初のうちは、まずOTCの勉強に専念することをおすすめします。
実際にOTC薬剤師として働いてみると、OTCの知識が足りないことに気付きます。OTCに限って言えば、一般的な薬剤師よりベテランの登録販売者の方が詳しいでしょう。私も最初のころは、お客さんにおすすめの商品を聞かれてもとっさに答えられませんでした。
OTCの知識を身につけるには、次のような方法があります。
- 本で勉強する
- 人に教えてもらう
- 動画セミナーや研修を受ける
詳しく知りたい方はこちら。今回はざっくり解説します。
一番手っ取り早いのは、本を使った勉強です。今の職場でOTCを学ぶ機会がなくても、OTCに詳しい人がいなくても本さえあれば大丈夫。コストも数千円くらいなので手軽です。
薬剤師がOTC医薬品を学ぶための本なら、「OTC医薬品の比較と使い分け」がおすすめ。大学ではあまり学べない、同効薬の違いがわかります。現場でよく聞かれがちな知識がよくまとまっているので、OTCに興味がある薬剤師さんにはぜひおすすめしたい1冊です。
OTCの接客や成分を一から学びたい!という人は、まず登録販売者向けのテキストを使うといいでしょう。私が使っていたのは「成分と特徴で選ぶOTC医薬品」「症状から選ぶOTC医薬品」の2冊です。
図表が多いのでわかりやすく、「スキマ時間にちょっとだけ勉強したい」という方におすすめです。
OTC業務に詳しい薬剤師は貴重!コツコツがんばろう
薬剤師は年々増えていますが、OTC業務に詳しい薬剤師は決して多くありません。ましてや会計や化粧品まで勉強している薬剤師は、ほんの一握りでしょう。それだけで他の薬剤師と差をつけられます。
これからの時代は薬剤師の資格だけで満足するのではなく、できることを広げて自分の市場価値を高める努力が必要になります。その手段の一つとして、化粧品検定や簿記、販売士の資格を目指すのも手です。
まずは興味があるものから、挑戦してみましょう!
OTC薬剤師の求人を探す方法については、こちらを参考にしてください。