薬剤師だけど在宅で働きたい!
メディカルライターってどんな仕事?薬剤師からでもなれるの?
「メディカルライター」という言葉を聞いて、仕事に興味をもった薬剤師の方へ言葉自体を聞くことはあっても、どんな仕事内容なのか詳しく書いているコンテンツは少ないでしょう。
私は薬剤師になってからドラッグストアに就職→メディカルライターの仕事に転職しました。
今回はメディカルライターの仕事内容や、薬剤師がメディカルライターに転職した感想について解説します。
実際に転職した方法はこちら。
メディカルライターとは医療・健康の情報を正確に分かりやすく伝える仕事
医療、健康に関する情報発信を職業的に実践する人たちをメディカルライター、メディカルコミュニケーターと呼びます。
JMCA 日本メディカルライター協会 (jmca-npo.org)
「メディカルライター」という単語は、ときどき医療系のWebライターと同じ意味で使われることもありますが、両者は別のお仕事です。
メディカルライターの仕事は大きく分けて3種類あります。同じメディカルライターでも企業によって業務は様々ですが、どれも専門知識を必要とする仕事です。
製薬企業・CRO
- CTD(医薬品の承認に必要な文書)など、企業で開発された医薬品の薬事申請
- 厳密なルールに沿って文書を作成する
- 専門性が高く、未経験から転職はハードル高め
広告代理店
- 患者さん向けのパンフレット、製品情報概要やIF(インタビューフォーム)作成
- メディカルコピーライターともいわれる
- 企画の提案からデザインのディレクションまで幅広い仕事に関わる
医療従事者向けWebサイト
- 医療従事者向けの動画コンテンツ作成
- 動画の台本作成や医師へのインタビューを行う
- 最近、コロナ禍を機に台頭してきた業種
私はこの中の広告代理店で働いています。
具体的な仕事内容はこちら。
メディカルライターになるには、まず企業に転職する【薬剤師もなれる】
メディカルライターになるには、まずは企業のメディカルライターに転職して経験を積みましょう。
メディカルライターになるために資格は必須ではありませんが、薬剤師免許を持っていると強みになります。中途採用の求人を見ていると募集要項の中に「薬剤師などの医療従事者」が歓迎条件として記載されていることがありました。
調剤以外でも薬剤師の経験、知識を活かせる場所として、メディカルライターは最適の仕事です。
メディカルライターのメリット3つ
私が実際に働いてみて、メディカルライターには次のようなメリットがあると感じました。
- クリエイティブに働ける
- 在宅で働ける
- 土日祝日に休める
実体験を交えて、それぞれ解説します。
クリエイティブに働ける
メディカルライターにも、調剤と違ったやりがいがあります。薬剤師でコンテンツを作るという経験ができる仕事は珍しく、クリエイティブに働けるのもこの仕事の魅力です。
メディカルライターは自分が作成した資材を通して、それを利用する多くの患者さんや医療従事者の役に立つことができます。わかりやすいパンフレットが作れたら患者さんも安心して薬が使えますし、処方で間違えやすいポイントを伝えられたら医師も正確な処方ができますよね。
資材を一から作りはじめてから完成して形になったときの喜びはひとしおです。
大学で学んだ知識や薬剤師としての経験を活かしながら企業で働けるなら素敵だと思いませんか?
在宅で働ける
薬局や病院、ドラッグストアで働く場合は接客業という都合上、テレワークができません。通勤は時間も体力も使うため、人によっては職場を往復するだけで疲れてしまいます。
私も郊外のドラッグストアで働いていたときは夜中に自転車で30分かけて帰宅しており、通勤に疲れて体調を崩してしまうこともありました・・・。
メディカルライターになってからは在宅ワークが中心で、週に1回出社すればOK。出勤する必要がないと体力を温存できるので、その分仕事のパフォーマンスも上がりました。在宅勤務が中心なので、仕事の合間に家事を進めることも。
先輩社員の中には、出社が少ない分合間に育児をしながら働いている人もいます。
薬剤師の中には、在宅で働きたいという思いを持つ人もいるのではないでしょうか。メディカルライターならその思いが叶えられます。
土日祝日に休める
私は新卒でドラッグストアに入社しましたが、店舗が土日も営業していたので週末に休みをとれませんでした。
入社する前は「平日で街が空いている日に休めるし問題ない」と思っていましたが、実際に働くとしんどい思いをすることがありました。会社で働いている友達となかなか予定が合わずに遊べない上、行きたいイベントはだいたい週末に開催のため休みがとれませんでした。
薬局や病院でも土日出勤する人は多いのではないでしょうか。
企業であれば、原則土日祝日は会社が営業していないので休むことができます。
人と会う予定も立てやすいですし、まとまった休みが取れるので旅行やイベントの参加もしやすいです。
実際に働いて感じたデメリット
繁忙期はハードな生活になりがち
新薬のプロジェクトを担当していて上市直前になると、残業がかなり増えます。定時が終わってから修正依頼が入ることもあり、その場合は夜遅くまで働くこともありました。
仕事にやりがいを求めない人、絶対に毎日定時で帰りたい人には向いていないかもしれません。広告代理店はお客さんである製薬企業を相手に仕事をしているので、時には無理を聞かなければいけないことも・・・。
しかしハードな時期もあるとはいえ、自己裁量で働けるのがこの仕事の強みです。店舗の忙しさはコントロールできない部分が大きいですが、ライターの仕事の多くは納期が決まっているので忙しさの予測も立てやすいです。前倒しで進めてしまえば定時で帰る日をつくることもできます。
調剤のスキルは身に付かない
当たり前の話ですが、企業で働いている間は調剤業務に一切触れません。もし調剤に戻る場合はブランクができてしまいます。もし調剤を中心にキャリアを築きたい場合は、企業ではなく調剤業務を続けた方が良いでしょう。
しかしあなたがもし調剤よりもメディカルライターに興味があり迷っている場合は、メディカルライターに挑戦してみることをおすすめします。調剤は数年のブランクがあっても復帰しやすい仕事ですが、未経験からメディカルライターに転職する場合は、いつでもできるわけではありません。メディカルライターになると調剤は行わなくても学術的な知識を付けられるので、もし調剤へ戻ることがあってもその経験は役に立つはずです。
もし「調剤よりもメディカルライターに興味がある、やってみたい」という気持ちがあれば自分の気持ちを大事にしましょう。まずは転職活動してみて、求人や企業を実際に見てから判断してもいいですね。
仕事を覚えるのが大変
未経験の業種へ転職した場合、一から仕事を覚えることになります。同じ転職でも調剤業務のままであれば基本的なルールは同じですが、未経験の仕事へ転職する場合は新しく覚えることばかりです。
特にメディカルライターは薬剤師としての知識に加えて、資料作成やパソコン操作など一般的なビジネススキルが求められます。広告代理店の場合はデザインの入社前にこれらのスキルを求められることはありませんでしたが、入社してからは必要になります。
私たちは調剤のスキルを大学時代に実習で身に付けてきましたが、一般企業で使うようなビジネススキルを習得する機会はあまりなかったと思います。逆に言えばここでビジネススキルを身に付けておけば、例えメディカルライター以外の仕事に転職することになっても他の仕事で通用するスキルが身に付きます。
私はドラッグストア薬剤師からメディカルライターへ転職したことをきっかけに、デザインやライティングについて勉強を始めました。ドラッグストアの仕事も学べることはありますが、転職しなければ知らない世界がたくさんありました。実際に学んできたスキルを今ブログにやWEBライターの副業にも活かすことができています。
新しいことを覚えること自体は大変ですが、ここで身に付けたスキルは一生モノです。
メディカルライターの求人を探したい薬剤師におすすめの転職エージェント
私がメディカルライターの求人を探すとき、dodaエージェントサービスを利用しました。
薬剤師向け転職サイトも調べてみたのですが、メディカルライターの求人は多くありませんでした。よって私は一般向けの転職サイトを利用しました。
私が利用した転職サイトの中で、最もメディカルライターの求人が多かったのがdodaです。
メディカルライターの求人自体が決して多くないので、転職活動を始める時点でなるべく選択肢は多い方がいいでしょう。
転職サイトとしても利用できますが、エージェント経由でないと申し込めない求人もあります。
登録するときはエージェントも同時に登録しておくと便利です。転職エージェントを利用すれば、企業への転職が初めてでも職務経歴書の書き方や面接対策をサポートしてもらえます。
メディカルライターに関するQ&A
メディカルライターに関して、よくある質問をまとめました。
メディカルライターの年収は?
メディカルライターの年収は450万~1,000万程度が相場です。
私が転職したときは500万程度。面接時、前職の年収や経験を考慮して提案されました。
メディカルライターはフリーランスでも働ける?
「メディカルライターはフリーランスでもなれる」という意見もありますが、プロモーションコードを考えると未経験からフリーランスのメディカルライターになるのは難しいでしょう。
医薬品の広告は「プロモーションコード」という、医薬品業界独自のルールを守って作成する必要があります。プロモーションコードを理解せずにメディカルライターは務まりません。
メディカルライターは副業でもできる?
病院で近しい仕事を経験している人や経験者ならチャンスはありますが、調剤しか経験していない薬剤師が副業でメディカルライターを始めるのは難しいでしょう。
薬剤師が副業としてライターを始めるのであれば、メディカルライターよりWebライターの方がハードルは低いです。
メディカルライターは在宅で働ける?
メディカルライターは在宅で働けます。
在宅の頻度は企業によって異なりますが、私の会社は原則週に1回出社すればあとは在宅OKです。