新卒でドラッグストアに就職するのはやめとけと言われた…
新卒でドラッグストアに就職するか迷う…。
この記事はそんな人に向けて書きました。
私は新卒で大手のドラッグストアに就職しました。福利厚生などメリットもたくさんありましたが、一方で就職して後悔したこともあります。この記事を読めば、ドラッグストア薬剤師の仕事内容がわかります。
ドラッグストアへの就職を考えている人はぜひ最後までお読みください。
新卒薬剤師の就職先ランキング
まず新卒薬剤師の一般的な就職先を上位から紹介すると、次の通りです。
1.薬局(42.8%)
2.病院・診療所(21.5%)
3.企業(10.0%)
4.医薬品販売業(6.3%)
参考: 「薬系学科」2019 年 3 月卒業者の就職動向調査|旺文社 教育情報センター
新卒薬剤師の4割以上が薬局、2割以上が病院・診療所に就職しています。ドラッグストアは「医薬品販売業」に該当します。ドラッグストアに就職する薬剤師は1割に届きません。
それぞれの就職先について、私の実体験や知人薬剤師の話をもとに解説します。
1.薬局
新卒薬剤師の4割以上が薬局を就職先に選んでいるため、薬局は人気の就職先と言えるでしょう。
薬局に就職する難易度は決して高くはありません。大学の先輩は卒業する3月になって就活を始め、あっさり内定をもらっていました(選択肢が少ないのでおすすめはしません)。
薬局に就職するメリットは調剤のスキルが身につけられること、全国に就職先があることです。大学で学んだことをそのまま仕事に応用できて、薬剤師の資格を活かしながらキャリアを積めます。
大手の薬局であれば全国に店舗があるため、もし引っ越しても異動すれば同じ会社で引き続き働けます。
デメリットとしては調剤以外の仕事に転職するのが難しいこと、年収が上がりにくいことです。
管理薬剤師になっても年収の相場は600万ほど。それ以上を目指すのであれば人手不足の地域で働くか転職する必要があります。
2.病院
新卒薬剤師の2割以上が病院に就職しています。
就職の難易度は病院によって異なり、人気の病院は就職が難しい傾向にあります。選考が始まる時期も夏~秋頃と遅いので、友人は薬局に内定をもらった上で病院の選考に臨んでいました。
病院のメリットは薬剤師としての専門性が身につけられること、キャリアアップが見込めることです。
病院薬剤師は専門性が高く、病院に就職した後にもし転職するとしても選択肢が多い印象です。経験が評価されて企業薬剤師に転職する人もいますし、薬局に転職も可能です。
病院のデメリットは年収が低いこと、夜勤や勉強会があったりと激務が多いことです。志が高い人でなければモチベーションが保てないかもしれません。
私が通っていた同期の中では、特に真面目で勉強熱心な人が病院に就職していました。
3.企業
薬剤師の1割が企業に就職します。就職先として多いのは製薬企業のMRや研究職、CROです。まれにIT企業や記者など、薬剤師とは全く関係ない仕事へ進む人もいました。
薬剤師が企業に転職するのは難しく、他の進路より対策も必要です。TOEICやSPIの受験が必要な企業もあり、選考も面接やグループディスカッションなど多岐にわたります。
一方、もし企業で働きたいと考えているなら新卒のうちに就職することをおすすめします。新卒は意欲とポテンシャルが評価されますが、中途採用の場合それだけではなかなか採用されません。私はドラッグストアから企業に転職しましたが、働きながら選考の準備を進めるのはかなり大変でした。
中途入社ではありますが、私が企業に転職した感想はこちら。
4.ドラッグストア
新卒薬剤師のうち、ドラッグストアなどの医薬品販売業に就職するのはわずか6%です。
薬剤師がドラッグストアに就職するのは決して難しくありません。私が受けたドラッグストアは、簡単な適性検査(心理テストのようなもの)と面接1回で内定をもらえました。ドラッグストアの業績はコロナ禍でも好調なので、基本的なコミュニケーション能力がある薬剤師であれば難なく採用されるでしょう。
ドラッグストア薬剤師の仕事には調剤/OTCどちらか専門、そして調剤/OTC併設の店舗があります。多くは調剤/OTC併設ですが、OTC専門で働く道もあります。
OTC薬剤師の仕事内容はこちら。
新卒でドラッグストアに就職して後悔したこと3つ
私は新卒でドラッグストアに就職して後悔した点を紹介します。
- シフトが不規則
- 専門性が身に付きにくい
- 年収が上がりにくい
なお、ドラッグストアが敬遠される理由として激務のイメージがあることが挙げられれます。実際には激務かどうかは店舗次第です。私が配属された店舗では残業時間が月20時間未満でしたが、別な店舗では薬歴が終わらず毎日残業しているという人もいました。
シフトが不規則
ドラッグストアの多くは、夜遅くや土日も営業しています。営業時間に伴ってシフトが不規則になり、十分に休めないこともありました。早朝や夜に働くこともあり、生活リズムが乱れがちなのがドラッグストア勤務のつらいところです。
OTC専門店で働いていたときは遅番のシフトが23時までだったので、帰るころには日付が変わっていました。
体力に自信がない人や規則正しい時間に働きたい人がドラッグストアに就職した場合、後悔するかもしれません。
専門性が身に付きにくい
ドラッグストア薬剤師はOTC医薬品、日用品など幅広い知識が必要とされますが、薬剤師としての深い専門性はあまり身に付きません。
よってドラッグストアから病院や企業に転職するのはかなり難しいでしょう。
逆に他の仕事からドラッグストアに転職は可能なので、もし他の仕事と迷っているなら「とりあえず他の仕事を選んでみる」という選択でもいいと思います。
年収が上がりにくい
ドラッグストアの初任給は他の仕事より高めですが、一方で頭打ちになる傾向にあります。
ドラッグストア時代の先輩に聞いてみても「年に数千円しか上がらなかった」と言っていました。「ドラッグストアは高年収」というイメージだけで入社すると後悔するかもしれません。
もしドラッグストアで高年収をもらうためには管理薬剤師やスーパーバイザーを狙う必要があります。
常に仕事で優れた成績をあげ、試験にパスしなければこれらのポジションに就くことはできません。
ドラッグストア就職で良かったこと3つ
新卒でドラッグストアに就職して後悔した点もありますが、一方でメリットもありました。
- 福利厚生や研修が手厚い
- 初任給が高め
- OTCや化粧品など幅広い分野に関われる
総じて、新卒薬剤師の中ではかなり手厚い待遇を受けられたと感じています。私は調剤の仕事がそこまで好きではなかったので、調剤以外の仕事に関われたのもラッキーでした。
それぞれの特徴について深堀りして解説します。
福利厚生や研修が手厚い
私が新卒で入社した会社には、月1万の借り上げ社宅や社割制度がありました。手取り以上にこういった福利厚生が手厚く、卒業したばかりでお金がない時期にはかなり助かりました。産休・育休も手厚いので、店舗では多くの人が子育てと両立しながら働いていました。
高収入を狙うのは難しくても、ドラッグストアで働き続けていれば金銭的に十分余裕のある暮らしを送れます。
就職先に安定感を求める人は、ドラッグストアが向いているかもしれません。
初任給が高め
ドラッグストア薬剤師は他の仕事と比べて初任給が高めです。奨学金を返す必要がある人や、なるべく早くまとまった収入がほしい人にはドラッグストアがおすすめです。
私は卒業したタイミングで貯金がほとんどゼロだったのですが、入社後1年で100万円くらいは貯金できました。なお、ドラッグストアによっては見込み残業も含めて年収が設定されている場合があります。ドラッグストアの募集要項を見るときは、額面だけでなく労働条件も必ず確認しましょう。社会に出てからは「知らなかった」「読んでいなかった」で済まされないこともたくさんあります。
OTCや化粧品など幅広い仕事に関われる
多くのドラッグストアでは処方せん医薬品だけでなくOTCや日用品、化粧品も販売しています。薬剤師として働いていても、お客さんが売り場の商品について質問してくることは少なくありません。
「調剤に専念したい」という方は煩わしいと感じるかもしれませんが、実際に勉強してみるとOTCや化粧品も奥が深いことがわかります。薬以外のことにも興味があるならドラッグストア薬剤師が向いているといえるでしょう。
私は社会人になるまで化粧に全く詳しくなかったのですが、会社が主催するメイクアップセミナーに参加して一から化粧品を勉強しました。働いているうちに化粧品について答えられることも増え、自分のメイクも上達しました。
薬剤師のドラッグストア就職は難しくないが、入社はよく考えてから決めよう
どの進路も一長一短があり、新卒薬剤師が就職先を決めるときはそれぞれの特徴を理解した上でよく考えてから決めましょう。
「楽に内定がもらえそうだから」「友達が行くから」という理由でドラッグストアに就職したら、後悔するかもしれません。
私は新卒でドラッグストアに入社して後悔していることもありますが、ドラッグストアだからこそ学べたこと、得られたものもたくさんあると思っています。
就職先は自己分析と業界研究をしっかり行い、悔いのない選択をしましょう!